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サイトの表示速度はどこまで速くすればOKか?

この記事を書いている2021年6月のGoogleのアップデート(ページ・エクスペリエンス・アップデート)により、サイトの表示速度が検索順位に影響するようになります。

具体的には、PageSpeed Insightsで計測したときの以下の3つ(青いラベルが付いている3つ)の評価が検索順位に影響するようになります。
Page Experience
ちなみに上記3つの指標のことを「コアウェブバイタル(Core Web Vitals)」といいます。別に一般の方は覚える必要はありません。

とりあえず今回のアップデートではモバイルでの検索結果にだけ影響するのですが、今後のアップデートでPCでの検索結果にも影響するようになることが決まっています。
そのような理由から、少なくとも今後1~2年はサイトの表示速度を速くすることがWeb、またはSEOの業界での一時的なトレンドになることが予想されます。

しかしページの表示速度を速くすると言っても、どのラインまで速めれば良いのかは考え方によって異なります。
では、どのラインまで速くすれば良いのでしょうか?


もし検索順位への影響だけを考えるのなら、上記のPageSpeed Insightsのモバイルでの点数が90点以上(緑色のスコア)出ていれば問題ないと言えます。

その理由は、「90点以上(良好)が出ていれば、それ以上の点数にしても評価は変わらない」とGoogleが公表しているからです。
参考ページ:コアウェブバイタルは段階的な評価、0か1かではない | 海外SEO情報ブログ

ただ、私個人の考えとしては、検索順位を良くするためにページ表示速度を改善するのは費用対効果の面で良くないと思います。
なぜなら「検索順位への影響は小さい」とGoogleから公式に発表されているからです。

過去の一例として、2015年前後に「HTTPSのサイトを検索順位で優遇する」というGoogleのアップデートがありました。
このアップデートの際も「HTTPSにしても検索順位への影響は小さい」と当時Googleから公表されていました。

そして実際に自分のサイトをHTTPSにしてみた結果、検索順位はほとんど変わらなかったという経緯があります。
今回の表示速度に関しても、おそらくその時と同じぐらいの影響しかないと予測されます。

スマホでアクセス
しかし、サイトにアクセスしてくる人の立場になって考えれば、ページ表示速度は速ければ速いほど良いということになります。

「現在の自分のサイトが1秒以下で表示されるのなら、それ以上速くしてもあまり変わらない(意味がない)んじゃないか?」

と多くの人は思うことでしょう。
しかしそれは違うのです。それはなぜかを以下から解説します。

PC・スマホ表示速度の差
例えば、自宅のPC・光回線を使ってアクセスした時、「1秒」で表示されるページがあったとします。
そのページを外出中にスマホ・4G回線でアクセスすると、「2秒」かかる可能性があります。(1.5秒かもしれないし、3秒かかるかも)

なぜなら、PCに比べればスマホは処理能力の面で劣りますし、光回線に比べれば4Gの回線というのは大幅に劣るからです。
特に通信の差が大きい。スループット(帯域幅)・レイテンシ(遅延)共に、4G回線は光回線に全く及びません。

【補足説明】
スループットやレイテンシは通信速度の指標です。

ですから、PC・光回線で1秒で表示されるサイトを0.2秒速くしても体感としてはほとんど変わらないので意味ないと思うかもしれませんが、その0.2秒の差はスマホ・4G回線では0.5秒ぐらいの差となって顕れるのです
スマホでの短縮時間
この差は4Gの回線が混み合う時間帯などではもっと大きくなるでしょう。1秒以上の差になるかもしれません。

docomoやau、ソフトバンクと契約している人は知らないと思いますが、格安SIMの昼12時台の通信速度は信じられない遅さになったりします。
(以下はIIJ mioの通信速度です。手書きで「IIJ」とメモしてあるのは無視してください)
IIJ mioの昼の通信速度
IIJは昼はいつもこんな感じです。他の格安SIMもおそらく似たようなものでしょう。(UQ Mobileとワイモバイル以外は)
4Gのような無線通信というものはとても不安定なものなので、一時的に遅くなることはごく普通にあるのです。

そして、もし表示速度が1秒違ったら体感としても全く違ったものになります。
本来なら2秒で表示されるはずだったサイトが3秒になってしまうのですから、離脱する(ページを閉じたり、前のページに戻ること)人が確実に増加することになるでしょう。

【関連ページ】
通信速度・ページ表示速度・離脱率の関係を図で解説

一つ実例を挙げて、サイト高速化の必要性を解説してみます。

今ご覧になっているこのサイトは、どのページでも0.1~0.2秒で表示できるほど速くできています。
「PC・光回線」という良い環境なら、キャッシュなしでも0.1秒以下の表示さえ可能でしょう。
キャッシュなしでの表示速度

しかし、このサイトにアクセスしてきた人たちの表示速度の統計結果を見ると、以下のように3秒以上かかっている人が4.3%いるのです。(こちらのプログラムを組み込んで記録しています)
だいたいどの日でも同じような割合です。
表示に3秒以上かかった人の割合
その瞬間、サーバーが重くなっていたという可能性も0ではないですが、ほとんどの場合は「アクセスしてきた人の回線速度が遅い」ことが原因だと思われます。

これだけ速くしたサイトでさえ、表示に3秒以上かかっている人が4.3%いるのです。
表示がもっと遅いサイトの場合は、その割合ももっと大きくなることは間違いありません。
それはつまり、離脱する人がそれだけ多い。ということでもあります。

【補足説明】
離脱とは、ページを閉じたり、前のページに戻ってしまう人のこと。

サイトにアクセスしてくる人の立場になって考えれば「ページ表示速度は速ければ速いほど良い」と上で述べたのはこのような理由なのです。
その必要性が理解していただけたのではないでしょうか。

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